agatatokanaeで『青空の切れ間』

岡山は暇な場所です。でも私が広島に行くと広島が暇な場所になって、兵庫に行くと兵庫が暇な場所になって、香川に行くと香川が暇な場所になります。そんな人間になっています。

マンホールに住んでいる人間

 マンホールチルドレンについてのドキュメンタリー番組のタイトルを見たことがある。はい、これでみんな私と同じ前提条件に立ちました。内容としては貧困にあえぐ家族が「表」での、多分、生活をあきらめてひっそりと暮らしていくみたいになってくれててもそうじゃなくてもどうでもいい。タイトルの奥にいた人は日本人っぽくなくてアジアンな感じの人だった。わざわざアジア人みたいな人って言ってるのって、人以外の要素のアジアみたいな人って表現を想定していると思われても仕方ないよね。でも例として「ミソスープみたいな顔してやがるなHaHaHa!」とか言われてもなんかそれはそれで面白いからいいような気もしてきた。人間を人間で例えるよりも物で例える方が納得できちゃう時代がもうここまで来ている。助け合って生きていこうとしている。

 考え方としてはむしろ分かりやすいのよね。神奈川県民とかってことでしょ。マンホールの中で生活してるからマンホールチルドレンで、神奈川県の中で生活してるから神奈川県民。「マンホール」の「人間」と「神奈川県」の「人間」。ナンかヘンなカンじ。人間が住む場所って人間がそもそもいるから住む場所として認識されるわけじゃん。人間がいなけりゃ神奈川県はそこにはいない。でも人間が住まなくってもマンホールはある。だってそこには人間が住んでるから。人間が住んでるのだからマンホールは人間が住む必要はない。つまり、マンホールは人間が住むより前に住んでた人間によって作られた場所であり、人間が住んでいなくてもマンホールとして存在できる。神奈川県民がいないと神奈川県は存在しなかったけどマンホールチルドレンがいなくてもマンホールは存在できる。人間がいるからこそ地面が意識されるのに、人間がいなかろうが意識される対象としてのマンホールは地面を穿ってチャリンコをがたがたと震わせる。この順序が逆な感じが、NHKの食指に触れたのか、順序が正しい感じがNHKの食指に触れなかったのか、ってことなのかにゃ?

 たまに小っちゃいマンホールあるじゃん。マンホールっていうか…やっぱ小っちゃいマンホールっていっちゃうよね。「ガス」とか書いてあってちょい普通のマンホールよりは浮き出てるやつ。マンホールと言っちゃう以上はあそこにもマンホールチルドレンはいたりするんかな。だってあれもマンホールだし。ちょっと浮き出てるのは、小っちゃい分マンホール内の気圧が人間の活動によって上がっている影響を受けるから?水遁の術とか潜水艦の望遠鏡みたいな使われ方をされてるから?

 そもそもあんなに小っちゃいと人間は入れないよね。あぁ、また住んでいる人間がいることが先になってたわ、あーし。住んでる人間がマンホールよりも先で、マンホールが住んでいる人間よりも先。